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「信長公記を読み解く」第4回 

木曜日に桐野作人氏の講座に行ってきました。
今回は、桶狭間の戦いです。

信長公記を読み解く、といっても今回は一味違います。
今回は、まず陽明本と天理本の記述を比較しながら(いつもは陽明本・角川文庫のです)、桶狭間の戦いを読み進めました。そのうえで、実際の戦いはどうだったかを検討しました。

正直、そんなに違いがあるの?といった気持ちでしたが、ただの思い込みでした。
なかでも桶狭間前夜の場面です。
陽明本の信長公記では、
其夜の御はなし、軍の行(いくさのてだて)は努々これなく、色色世間の御雑談迄にて、既に深更に及ぶの間帰宅候へと御暇下さる。家老の衆申す様、運の末には智慧の鏡も曇るとは此節なりと、各嘲弄候て罷帰へられ候
とあります。今川義元の大軍が迫ってきているのに、戦の話をせずに雑談して、夜も遅いから帰れと言われ、家老たちが呆れかえる。まさにドラマでよくある場面です。
では、天理本ではどうなるのか。
其夜之御咄、軍之行御談合、於是非国境にて可被遂御一戦候、寄地へ被踏迯候而ハ有ニ無甲斐との御存分也、然処に御家老之衆、一味同心に被申様、御敵ハ四万五千大軍也、其分一ニも不足御人数ニ候、是程能名城御拘之事ニ候之間、時分を被成御計御合戦尤と申候之処
とあります。軍議の席上、信長は国境で是非一戦したいと話し、これに家老たち全員がせっかくの名城(清州城)があるのだから、これに籠城して時分を見計らってから戦えば良い、と反論しています。

一方では軍議なし、一方では軍議があって内容も書かれているのです。
これほどの違いがあるとは思いませんでした。まるっきり話がちがってきます。
また、桶狭間当日、信長が善照寺砦から中嶋砦に移ろうとした際、家老たちが止めに入ります。陽明本では、家老の衆とだけですが、天理本には、「御家臣之林・平手・池田・長谷川・花井・蜂谷」と名前が書かれています。
少し気になったのは柴田勝家の名前がないことです。今川の大軍を迎え撃つに柴田の名前がないのは不思議です。
あと、花井って誰? こちらは谷口克広氏の織田信長家臣人名辞典を調べると、四人の名前があり、星崎城城主など星崎の地に関係する人物のようです。星崎城は鳴海城の対岸の地にあります。

さて、面白くなるのはここからです。この天理本の伝来経路です。この天理本(天理大学附属図書館所蔵)の伝来経路をたどると、堀尾家となるそうです。ここでピンときた方がいると思います。
そう、小瀬甫庵が仕えていた堀尾家です。甫庵の信長記はこの天理本の記述が元になったのではないか、とのこと。
では、甫庵の信長記ではどうなっているか、
信長卿急ぎ御内外様の人々を呼び集め仰せけるは、今朝義元、智多郡まで出張の由、飛脚到来の条、明日逆寄に押寄せ合戦すべしと思ふは如何にとありければ、林佐渡守進み出でて、義元は四万五千の著到と聞こえたり、味方の勢は僅三千には過ぐべからず、来鋭なれば一応是を避けて後、此の城の節所へ引き請け、合戦に及び候はば宜しかりなんと、言を憚らず申しければ
とあります。やはりこの天理本がネタ本といったところでしょうか。

講座の前に図書館で甫庵の信長記との比較になると思い、桶狭間のあたりをコピーしたのですが、きちんとレジュメに掲載(軍議・出陣のところ)されていて、無駄骨だったかとちょっと落胆。しかし、しておいて良かった点がありました(笑)。
それは柴田の名前です。
甫庵の信長記では、中嶋砦にうつろうとする信長を止める者たちの名前は、「林佐渡守、池田勝三郎、毛利新介、柴田権六御轡に取付き
とあります。
世話になった堀尾家や前田家を話に関わらせる甫庵の特徴は良く知られていますが、これはどうなんでしょうね。平手・長谷川・花井・蜂谷を消して、柴田勝家と毛利新介を載せる。たんに勝家は有名どころ、新介はのちの義元の場面を考えてのことなんでしょうか。

桶狭間の戦いの話まで書けていない・・・。
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テーマ: 物書きのひとりごと
ジャンル: 小説・文学

2009.10.23 Fri 22:17
カテゴリ: 講座・講演
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