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第20回『信長公記』を読み解く 

1月と同じく小説を書くのに一杯一杯だった2月も終わり、ブログの更新も頑張りたいと思います。
さて、桐野作人氏の講座に行ってきました。

今回は、浅井・朝倉氏の滅亡に関してです。
有名な話なので説明は必要ないかと思いますが、織田軍の追撃をうけ、撤退する朝倉軍の中でひとりの人物が討死します。
かつては美濃の国主として君臨した斉藤家の三代目、斉藤龍興です。
竹中半兵衛の稲葉山城乗っ取りの逸話のせいか、無能愚物の代表格になっています。
稲葉山城を追われた龍興は執念深く信長と戦い続けます。足利義昭があわや兄義輝の二の舞になりかけた本国寺の戦いでは三次三人衆方となり、そして今度は朝倉軍として参陣し、反信長の態度を崩していません。見事なまでの『反信長』です。

この龍興について、興味深い一文を講座で知りました。
それは、『美濃明細記』における龍興の記述で、
龍興室者浅井備前守長政女也、属長政後、属朝倉義景有軍功、
とあります。龍興は長政の娘婿だったということです。
事実か否か、また本当に娘だったかについて桐野さんは疑問視もされていましたが、
私的には、ありうる、と思いました。

まず、結婚時期はいつかとなると、二つの時期が考えられます。
ひとつは、永禄年間の美濃国主時代の龍興、次は、反信長で提携した元亀年間の龍興になると思います。
しかし、後者の時代では龍興に娘をやるほどの価値を見出せません。となると、やはり前者の永禄年間、それも永禄四年前後ではないかと思います。
まず、この頃の近江・美濃の年表は、

永禄二年
?月 浅井賢政(長政)元服。六角氏重臣・平井娘と離縁。
永禄三年
5月 桶狭間の戦いに織田信長勝利。
7月 六角義賢、家中の斉藤氏との婚姻推進に反発。
8月 六角義賢、北伐。野良田の戦いに浅井賢政勝利。
10月 浅井賢政、家督相続。
12月 美濃の斉藤義龍、近江に浅井賢政を攻める。
永禄四年
2月 浅井賢政、美濃に斉藤義龍を攻める。
3月 六角義賢、佐和山城を攻めるが、浅井賢政、これを奪回。
5月 斉藤義龍、病死。
   浅井賢政、名乗りを長政に変える。

この頃の話の流れは、拙著『信長東征伝』(宣伝)を書く時に色々調べたのですが、その中で(『浅井氏三代』宮島敬一氏著)を読んでひとつ気になっていたことがあります。
北近江の浅井長政の六角氏従属からの独立を契機に、六角氏=斉藤氏の同盟関係が生まれ、これに対して遠交近攻よろしく長政と信長の同盟(信長妹お市との結婚)が成立したとのことでした(市との結婚時期については諸説あり)。
ついつい有名どころの大名の動きばかりに目がいきますが、こんな動きがあったとは、とすごく面白く感じたのを覚えています。
一方で、この永禄三年末と四年初頭の戦い以後、浅井氏と斉藤氏の争いが巻末の年表には見当たらず、逆に浅井氏と斉藤氏との戦いは激しくなります。もし、信長と長政の同盟が永禄年間の半ば頃に成立していたのならば、なにがしかの抗争が浅井氏と斉藤氏との間であってしかるべきではないか、との疑問もありました。

しかし、この龍興と長政娘の婚姻が事実であれば、話は通じます(お市の婚姻時期・信長との同盟は置いて)。
これを斉藤氏側から見れば、六角氏と結んで後背を固めようとしたところ、案に相違して、逆に浅井氏に手を焼くことになった。そこに義龍が病死してしまう。
幼君の龍興ではニ方面の敵を相手取るのは難しい。そこで浅井長政とは和睦し、長政娘を龍興正室に迎えることで近江方面を安定化させたい。六角氏が反発しても、佐和山を確保した浅井氏がいては美濃まで手が出せない。そんな思惑があったのではないでしょうか?

とはいえ、龍興は天文十七年(1548)生まれ、長政は天文十四年(1545)生まれ、永禄四年(1561)時点のふたりは、とても娘婿と岳父の間柄とも、実際に長政に娘がいたかも微妙な、そして正室で送り出すには娘の年も問題です。あるいは一族の適齢期の娘を養女としたか、結婚の約束だけにしたのか。
色々と問題があります(桐野さんはこの年齢問題を指摘されていました)。

少し気になったのは、斉藤龍興を調べていて(『全国版 戦国時代人物事典』学研)、龍興の母が浅井久政の娘という、という記述です。これが事実ならば、浅井氏とは縁があったということになりますが。
時間があれば、この龍興母についてや永禄中期以後の浅井氏と斉藤氏の関係はどうだったのか、調べてみたいところです。


で、なぜここまで龍興に拘ったかというと、某センゴク漫画であまりに格好よい人物に描かれていたからです。
あそこまで描いてもらえたら、泉下の龍興も喜んでいましょう(笑)。
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テーマ: 物書きのひとりごと
ジャンル: 小説・文学

2011.03.05 Sat 21:05
カテゴリ: 講座・講演
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