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第19回『信長公記』を読み解く 

小説を書くことにいっぱいで更新を等閑にしてきた1月でした(汗)。

さて、桐野作人氏の講座も第4シリーズに入り、いよいよ天正年間を迎えます。
今回講座は、足利義昭の挙兵と追放です。講座の時間割で追放は次回になり、一回目の挙兵がメインです。
今回の講座で自分のポイントとなったことは、時間の都合上、詳しく触れられませんでしたが(レジュメには記載)、義昭が挙兵したときの兵力についてです。
正直、あまりにもあっさり信長に敗北しているので、物の数ではないと思っていましたが、いやいやそうでもありませんでした。

義昭の挙兵の流れは、
まず勢田川近くの石山、湖賊で有名な西近江の堅田を最前線として守りを固めるというものでした。
これに江北に布陣していた信長は、再三義昭に和睦を求めますが、受け入れられないとみるや、二月二十日に明智光秀・柴田勝家・丹羽長秀・蜂屋頼隆などを派遣。守りの準備が固まらないうちに、
二月二十四日石山攻め
  二十六日石山降伏
  二十九日堅田攻め・陥落
とあっけなく義昭の防衛線を破ります。
このあと光秀が坂本に入りますが、残る三人は帰陣。
三月二十五日に信長が出陣して京都入りするまで約一カ月空きます。恐らく武田信玄の西上軍の動向を把握するためでしょう。信玄が西上を中止したのを確認後か、信長は自ら兵を京都に進めます。
ここで信長は京郊外を焼いて義昭に降伏勧告を出しますが、義昭は拒否。信長は見せしめに上京を焼きます。これには義昭も降伏を受け入れることになります。

では、このときの将軍方(義昭方)の兵力はどの程度、どれほどが味方したのか?
耶蘇会日本通信の『一五七三年五月二十七日(天正元年四月二十六日)フランシスコ・カブラル宛ルイス・フロイス書簡』には、
彼の主たる救援は丹波の領主ジョアン内藤殿にして直に千七百の兵士を率いて城に入り、池田及びタミオクの兵並に公方の兵五千内外も又来りたり。内千余の銃手あり
とあります。
ジョアン内藤は、文禄・慶長の役における講和交渉で有名な内藤如安で、この頃は丹波の有力国人として丹波に勢力がありました(ちなみに父は松永久秀の弟長頼。長頼が内藤氏を継ぐ)。池田・タミオクは、池田知正・塩川伯耆国満(?)です。ふたりとも摂津の国人。これに河内の三好義継、大和の松永久秀が義昭に従うことを表明(注意書きによれば、異年年代記抄節に記事)。
また日本耶蘇會年報の『一五七三年四月二十日(元亀四年三月十九日)フランシスコ・カブラル宛ルイス・フロイス書簡』には、
公方様は信長の敵一同と共謀し居りしが、今や越前の御屋形が多数の兵士を率い、香西(元成)・三好殿(義継)殿及び三人衆(三好長逸・三好政康・石成友通)と共に近江の国に攻め来たらんことを期待せり
とあります。
これらのことから義昭の挙兵構想は、
堅田で江北周りと水上を、石山で勢田を防ぐことで京都を守る一方、丹波・摂津・河内・大和の兵を募り、越前の朝倉氏や阿波の三好氏の来援を待つということが分かります。
二条城には合計七千余りの兵。しかも千は鉄砲。
これだけの兵力と、堅田と石山の防衛線が固まれば来援までの時間は十分に保てる。そもそも信長は江北に釘付けであり、さらに武田信玄の西上も三河から尾張に近づいている。信長に京都に兵を振り向ける余裕はない。これならば勝算はある。
と義昭が計算しても、あながち楽観論と切り捨てることはできない気がします。西上起こした信玄が死ぬとは思いもしませんでしょうし。
逆に信長からすれば、将軍という権威を失い五畿内が敵にまわるという状況です。信玄の西上という頭が痛いときです。義昭の挙兵当初、信長が義昭との和睦を図ったのも頷けます。
また細川藤孝や荒木村重が信長に恭順したことをたいそう喜んだのも分かります。
織田軍が義昭の近江防衛線を突破した後、武田の西上がないと分かった後とはいえ、五畿内に味方ができたことが嬉しかったのだと思います。あるいは京都進軍前の一カ月の間に調略が成功した二人なのかも知れません。

織田軍が、六角氏相手の上洛戦の如く電光石火に堅田と石山を落とし、なにより信玄の西上軍が帰国したことで勝負はありましたが、あるいは堅田・石山の線で信長が手こずる場面になっていたら、あるいは面白い展開になっていたかもと想像してしまいます。


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テーマ: 物書きのひとりごと
ジャンル: 小説・文学

2011.02.01 Tue 02:48
カテゴリ: 講座・講演
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